戦争孤児の会元代表の金田茉莉さん死去 88歳 吉川英治文化賞

「戦争孤児の会」元代表で、戦争孤児の実態調査と記録に貢献した金田茉莉(かねだ・まり)さんが10日、くも膜下出血のため死去した。88歳。葬儀は近親者で営む。
1945年3月10日の東京大空襲で母親と姉、妹を亡くした。自身は宮城県に集団疎開していて助かったが、9歳で孤児に。親戚に引き取られたが、虐待を受けた。高校卒業後に上京。就職でも苦労し家事手伝いや飲食店の店員など職を転々とした。長年孤児であることを隠していたが、50歳を前に大病をしたことから記録を残すことを決意。口をつぐみがちな戦争孤児たちを訪ね実態調査を進めた。公的な記録がほとんど無い中で貴重な資料となった。
民間人空襲被害者が国に補償と謝罪を求めた集団訴訟では原告副団長を務めた。2019年、戦争孤児の実態を後世に伝えたことが評価され吉川英治文化賞。著書に「かくされてきた戦争孤児」「東京大空襲と戦争孤児 隠蔽(いんぺい)された真実を追って」など。