「スーツ姿のガタイのいい男が、何カ月も前からほぼ毎日、事件のあったフィリピンパブの近くにあるコンビニの前に立っていたんです。周りにいたキャッチの男の子が『ヤバい、変なヤツがいる』ってなって。別のキャッチの男の子がふざけてそいつの動画を撮ったら『見てんじゃねえよ！』って怒鳴られた。それから『アイツは危ないから近づくのはやめようね』ってなったんです」
こう証言するのは、7月6日午後11時過ぎ、東京・練馬区の路上で、フィリピン人女性Aさん（41）が、男に胸や腹などを刃物で刺された現場付近で飲食店を営む男性店員だ――。
「出禁」になっていた店の常連が女性をメッタ刺し
社会部記者が解説する。
「事件は西武池袋線の練馬駅から150mほど離れた繁華街で起きました。6日夜11時ごろ、包丁を持った、黒いスーツ姿の男がAさんを追いかけ、胸や腹をメッタ刺しにしたのです。トラブルを目撃した人がすぐに110番通報。男はAさんが駆け込んだコンビニ店内まで追っていきましたが、すぐに逃走しています。
防犯カメラの映像などから、加害者と特定されたのが近くのマンションに住む最上守人容疑者（64）。練馬署は、7日午前4時過ぎ、自宅に戻ってきた最上容疑者の身柄を拘束。殺人未遂の疑いで逮捕しました。最上容疑者は、『自分がやったことに間違いありません』と容疑を認めている」
病院に搬送されたAさんは、重傷を負ったものの命に別状はないという。最上容疑者はAさんの店の常連だったが“トラブル”を起こし、店を「出禁」になっていた。
「最上容疑者は取り調べで『犯行直前にもAさんと口論になった。店にいったが入店を拒否され、バカにされたと思い刺した』『店を出入り禁止にされ、カッとなっていた』などと供述。警察は、最上容疑者がAさんを逆恨みして犯行に及んだと見て捜査を進めています」（同前）
お弁当のから揚げを「細かく切って」…自宅近くでは目立った人物だった
最上容疑者は身長180cm。築35年家賃5万円台のマンションのワンルームで一人暮らしをしていた。自宅近くの弁当屋の店員が語る。
「2～3週間に1回ぐらいお弁当を買いに来てましたよ。うちでトラブルを起こしたことはありませんね。いつも490円の、から揚げが3個入ったしお味の“から揚げ弁当”を買っていました。必ず『小さい子が食べるぐらいの大きさにから揚げを細かく切ってください』と妙な要望をするので、よく覚えています」
別の店員も「ああっ！ “切ってください”の人か！」と言うなど、自宅近くでは目立った人物だったようだ。
最上容疑者はSNSを複数開設しており、それぞれのプロフィール欄には「会いたい人がいるので投稿しました」「この1年間人の事で悩み参りましたさすがの私も寝られず鬱、男女間の問題は深刻化し、殺人迄発展しかねないので関わらない方が良かったと今は後悔しています」（原文ママ）など、今回の事件を示唆するような書き込みが見られた。
果たして最上容疑者を凶行に走らせたものとは何だったのか。現在発売中の「週刊文春」及び「 週刊文春 電子版 」では、孤独なクレーマーだった最上容疑者がAさんの店で起こしたトラブルの詳細や、今年に入ってから容疑者とやりとりをした高校の同級生の貴重な証言などから、事件の背景に迫っている。
（「週刊文春」編集部／週刊文春Webオリジナル）