岸田首相「菅詣で」に憶測 八方ふさがりで「聞く力」アピールか 2年前の遺恨で「犬猿の仲」も〝異例の大物訪問〟

岸田文雄首相の動向が憶測を呼んでいる。20日午後、菅義偉前首相の国会事務所を訪ねて、約40分間、面談したのだ。岸田首相は約2年前、「菅おろし」の口火を切り、両者は「宿敵」「犬猿の仲」とされる。LGBT法の拙速な成立や、マイナンバーのトラブル続出、サラリーマン増税の模索などから内閣支持率は続落している。〝異例の大物訪問〟の狙いは。
「外交や内政など、秋に向けてさまざまな政治課題がある。意見交換を行い、アドバイスをいただいた」
岸田首相は、菅氏との面会後、官邸で記者団にこう説明した。内閣改造・自民党役員人事が近いとされるが、「(人事は)何も話していない」と語った。
内閣支持率の下落が止まらないなか、岸田首相は政権浮揚の打開策を模索しているという。ただ、「気を許して相談できる相手もなく、孤独を感じているようだ」(政権幹部)という。
確かに、長男の翔太郎氏は「公邸忘年会」などが問題視されて秘書官を辞任し、側近の木原誠二官房副長官は相次ぐ文春砲で身動きがとれない。政治信条に違いがありながらも、節目で親身に助言した安倍晋三元首相の〝不在〟も重くのしかかる。
岸田首相としては、自民党の麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長ら主流派と連携を図る一方、反主流派の〝象徴〟である菅氏を訪ねたわけだ。両者は何を語ったのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「恒例の『菅詣で』だろう。40分程度で濃密な相談はできない。岸田首相が助言を求めた体だが、菅氏に全面協力の意思はなく、岸田首相も『聞く力』を発揮した印象を出したかったのだろう」と語る。
確かに、岸田首相は昨年11月と今年3月、菅氏を同様に訪ねたが「会談は内容の乏しいものだった」(党中堅)という。当時も支持率低迷にあえいでいた。
会談に意味はあったのか。鈴木氏は厳しい見方を示す。
「菅氏は、岸田政権の『安易な増税路線』『官僚主導路線』に批判的だ。政治主導で『国民負担の前に工夫して財源を確保する』のが信条で、財務省の影響が強い岸田首相とは相いれない。岸田首相は『関係悪化した公明党との仲立ちを菅氏に期待した』との見方もあるが、岸田首相は菅氏の『自公修復の提言』を聞き入れてこなかった。岸田首相は、主流派の茂木氏とは微妙な距離があり、麻生氏は政局への熱量が乏しいようだ。党内外で孤立感をさらに深めるかもしれない」