国防ジャーナリストの小笠原理恵氏が今年3月、緊急連載「自衛隊に与えよ栄誉と報酬」で、テレビを持たない自衛隊員がNHK受信料を集金されたという信じがたい実態を報告した。これを問題視した自民党の和田政宗参院議員が防衛省に実態調査を求めたところ、〝不当な受信料徴収〟は無くなったという。小笠原氏が緊急寄稿した。
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1998年4月6日、NHKから防衛庁(当時)に対し、自衛隊員の居住する営舎内各部屋単位で受信契約したいという依頼があった。そこから、防衛省は居室ごとの契約とし、均等にその受信料を隊員から徴収することになった。
それから25年たち、自衛隊員はテレビよりスマホ動画やゲームが自由時間の主流となった。誰も見ないテレビの受信料徴収に不満を持つ隊員が増えた。テレビがあっても階級が低い隊員は好きな番組を見ることはできないし、テレビのない居室でも受信料均等支払いが続けられていた。
「自分が見ないテレビ受信料負担は納得できない」というのは当然だ。小さな金額でも継続して不満は重なり、集金係への風当たりは強い。集金係となる若い隊員は、集金を渋る古参隊員の分を立て替え払いして、その場をしのぐ場合もあったという。
この問題を、筆者が和田議員に相談したところ、「それはおかしい。実態を確認してみます」と返答をもらった。
防衛省で、8部隊(居室数309室、営内者数766人)の実態調査をしたところ、部隊の一部(6室21人)についてテレビの使用状況に関係なく居室の隊員全員から均等に受信料を徴収していることが確認された。やはり、〝不当なNHK受信料徴収〟があったのだ。
この結果を踏まえ、服務管理官からNHK受信契約及び、受信料徴収にかかる留意事項の周知を7月5日までに完了した。「受信設備がない場合は受信料は発生しない」と当たり前の文言が周知された。
自衛隊員が「これが当たり前なんだ」「言っても仕方ない」「どうせ何も変わらない」と諦めてきたことが、夕刊フジで実態を公表し、問題意識のある国会議員が動いてくれたことで変わった。日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、国民の生命と財産を守る自衛隊員の待遇改善は待ったなしだ。
自衛隊員の不満の元凶が一つ消えた。入隊者が増えず、定着した隊員が中途退職する小さな理由を一つ一つつぶしていくことで、隊員減を食い止められればと切に思う。