九州北部で記録的大雨、3県84万人に避難指示…2人が死亡

九州北部は28日、局地的に猛烈な雨が降り、佐賀県や長崎県で観測史上最大の記録的な大雨となった。警察当局などによると、佐賀県と福岡県で車や歩行者が流され、2人が死亡、1人が心肺停止状態となっている。気象庁は28日午前5時50分、佐賀、福岡、長崎の3県に大雨特別警報を発表。読売新聞の28日午前11時半現在のまとめでは、3県は約35万5000世帯、約84万8000人に避難指示を発令した。
28日未明から早朝の1時間あたりの雨量は、佐賀市で観測史上最大の110ミリに達したほか、24時間雨量も長崎県平戸市で434ミリ、佐賀市で390ミリに達した。
佐賀県武雄市では28日午前7時頃、流された車の中にいた50歳代の男性が病院に搬送されたが、死亡が確認された。
福岡県八女市でも、市内の高齢の男性が冠水した道路で流され、数十メートル離れた場所で心肺停止の状態で発見され、その後死亡が確認された。車が立ち往生し、歩いて避難する途中、流れに足を取られたとみられる。佐賀市でも、水路に落ちた軽乗用車の中にいた女性が心肺停止状態になっている。
佐賀県内では牛津川などが氾濫し、総務省消防庁によると、多久市で5人、小城市で1人が孤立し、救助活動が行われている。長崎県では床上浸水が12棟、床下浸水が22棟確認されている。
大雨特別警報は数十年に1度の雨量となる場合に発表される。今年は7月の長崎県に続いて2回目。気象庁によると、暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で前線の活動が活発化し、局地的に積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が発生した。
大気が不安定な状況は28日午後も続き、29日午前6時までの24時間雨量は、九州北部で200ミリ、関東甲信と東海で180ミリ、北陸で150ミリと予想されている。
政府は28日午前、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。安倍首相は、自治体と連携した住民の避難支援などを指示した。