長崎市の鈴木史朗市長は28日、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、日本原水爆被害者団体協議会代表委員だった谷口稜曄(すみてる)さん(2017年に88歳で死去)が原爆で背中一面に大やけどを負った体験などに触れ、被爆の実相を伝え、核兵器使用につながりかねない風潮に警鐘を鳴らす。
4月に就任した被爆2世の鈴木市長が初めて宣言に臨む。5月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明「広島ビジョン」で「核戦争をしてはならない」と再確認された意義を強調する一方、声明が核抑止を前提とした点を批判。核保有国と核の傘の下にいる国に核抑止への依存から脱却するよう求め、日本政府と国会議員に核兵器禁止条約への署名・批准、憲法の平和理念の堅持を要請する。
起草委員会の被爆者らの委員からは、岸田文雄政権による安全保障関連3文書の改定や防衛費増額への懸念を盛り込むよう求める意見があったが、平和宣言に直接的な表現は盛り込まない。鈴木市長は記者会見で「(宣言では)防衛費増大の原因となる北東アジア地域の軍縮と緊張緩和に向けた外交努力を要請する」と説明した。【高橋広之、樋口岳大】