防衛白書、国際社会は「戦後最大の試練」と明記…抑止力の必要性強調

政府は28日午前の閣議で、2023年版防衛白書を了承した。ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、国際社会について「戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と明記。侵略から得られる教訓として抑止力の必要性を挙げ、日本の防衛力を抜本的に強化する方針を強調した。
ウクライナ情勢を巡っては、ロシアが経済制裁下にありながらも「弾薬や旧ソ連時代の技術水準の装備品は今後も十分生産可能」として、戦闘が長期化する可能性に言及した。「ウクライナの防衛力が十分ではなく、侵略を抑止できなかった」と解説し、「力による一方的な現状変更は困難だと認識させる抑止力が必要」と強調した。
防衛力強化については、昨年12月に改定した国家安全保障戦略など3文書の内容を盛り込んだ章を新設した。日本へのミサイル攻撃を「現実の脅威」とした上で、「既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつある」と、「反撃能力」保有に理解を求めた。偽情報の流布への対策など情報戦に関する項目を設け、防衛省全体で対応を強化する方針を打ち出した。

このほか、ロシアで極東地域を担当する戦力について、ウクライナ投入で「損耗している」と分析しつつ、北方領土などでの軍事活動の継続に警戒感を示した。台湾情勢に関しては、中国と台湾の軍事バランスが「中国側に有利な方向に急速に傾斜する形で変化している」との認識を示し、「急速に懸念が高まっている」と危機感を表明した。北朝鮮に対しては、「より実戦的な状況を連想させる形で挑発行為をエスカレートさせた」と非難し、核兵器の搭載を念頭に置いた長距離巡航ミサイルの実用化を追求していることを指摘した。
各国に対する認識は、国家安保戦略での表現を踏襲し、ロシアを「安全保障上の強い懸念」、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」、北朝鮮を「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」とそれぞれ位置づけた。