無登録で猫を販売したり、不衛生なケージで犬や猫を飼育したりした疑いで、福岡県柳川市の女(74)が逮捕された。警察が家宅捜索すると、糞尿が約40センチたまったケージで多数の動物が飼われており、猫の死骸もあったという。犬と猫の41匹が保護され、ほとんどはボランティアに引き取られた。女はブリーダーとして登録していたものの、不適切な飼育状況を行政から何度も指摘され、その後「無登録」になったとみられている。
◆家宅捜索で捜査員が「糞尿であふれたケージ」を目撃
臨時従業員・横尾恵枝容疑者(74)は、2021年に無登録で猫5匹をペットショップなどに販売した動物愛護法違反の疑いが持たれている。折れ曲がった独特の耳が特徴のスコティッシュフィールドを中心に計38万円で売ったとされる。こうした動物たちは福岡県久留米市にある横尾容疑者の自宅の劣悪な環境で飼育されていたとみられ、警察は今年5月に排せつ物のたまったケージで犬5匹、猫29匹を飼育し虐待した疑いでも逮捕した。家宅捜索した際には糞尿がケージの中に約40センチの高さまでたまっていたという。
◆ブリーダー時代に行政から何度も“指導”され、無登録になった
警察によると、横尾容疑者は元ブリーダー。2011年に「第一種動物取扱業」として登録し、2016年には登録を更新している。しかし、行政の立ち入り検査の際に不衛生な飼育状況を何度も指摘され「このままでは次の更新はできない」と言われていたという。2021年に再度、更新が必要だったが横尾容疑者は手続きを行わず「無登録」になった。無登録になってからも、女は猫50匹を約400万円で販売したことが帳簿などから明らかになったという。警察は裏付けのとれた5匹分を立件した。
◆「手と腰が悪くて怠けるように」容疑を認める供述
横尾容疑者は取り調べに対して「2、3年前から腱鞘炎で手の指が動かしづらくなり、さらに腰も悪くなって排泄物の処理を怠けるようになった」などと供述し、容疑を認めているという。家宅捜索では敷地から猫の死骸も見つかった。“虐待”として立件しなかった放し飼いのものを含め、警察は41匹を保護。ほとんどがボランティアによって引き取られ、新しい生活を送っているという。
◆自宅で生まれたペットの引き渡しは要注意
動物愛護法により、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示などを業として営む場合は、事前に「第一種動物取扱業」の登録を受けなければならない。違反すると100万円以下の罰金に処せられる可能性がある。静岡県は法律違反になるおそれがある事例として、次のようなケースを案内している。
・自宅で生まれた動物をペットショップに引き渡し、ペットショップに引き渡し、金品を受け取っている。
・自宅で生まれた動物をSNS等、インターネットで他人に販売している。
・近所の人や知人の動物を預かったり、散歩などをさせることで金品を受け取っている。
・飲食店や旅館などの営業施設で動物を飼育し、その動物を見せたりふれあいをさせることで集客を狙っている。