半年以上前から再三にわたり、警視庁から対応を迫られながら、何もせず、ほったらかしにしていた。
覚醒剤と大麻を所持したとして、日大アメリカンフットボール部の北畠成文容疑者(21)が警視庁に逮捕された事件。あらためて大学側のデタラメぶり、危機管理能力のなさが浮き彫りになった。
「最初に警視庁から大学側に『部員が大麻を使用している』という情報が寄せられたのは、昨年11月のことです。家宅捜索に踏み切るだけの具体的なものが確認できなかったため、警視庁は翌12月、アメフト部員を中心にした学生に対し、薬物乱用の防止講座を開催した。それ以降も情報提供がなくならなかったため、大学側にきちんと調査するように伝えたようです。それでも大学側は動かず、今年の7月6日になって、ようやく実態を調査し、薬物を発見。あれだけ警視庁に対応を求められたのに、報告したのは約2週間後の18日だった。その結果、『捜査には全面的に協力する』と言いながら、北畠容疑者が逮捕されたのは薬物発見から約1カ月後になった」(捜査事情通)
日大は2018年に「悪質タックル」が問題になった際も当初、会見をせず、意図的に反則行為を指示したことを否定。
3年後の21年、田中英寿元理事長の脱税事件を巡り、大学本部に家宅捜索が入った時も、大学が会見を開くまで約3カ月もかかっていた。
危機管理のエキスパートを育てるはずが…
日大には16年に設置された「危機管理学部」があり、学生が法令順守や情報発信について学んでいる。ホームページには<多彩な危機と向き合う研究者教員と、危機の現場に精通した実務家教員がそれぞれの専門とする科目を担当します>と明記され、危機管理のエキスパートを養成するのが「ウリ」だが……。
「危機管理学部は、田中元理事長の肝いりで新設され、警察官僚出身の亀井静香元衆院議員に協力を仰いだ。今も警察庁や防衛省出身の教員が複数、在籍しています。犯罪やテロ対策に詳しく、内閣官房で委員を務める福田充学部長は危機管理学の専門家です。学内教員の代表として林真理子新体制で理事に抜擢された永沼淳子教授も同学部の専任教員です。そんな人材や組織がありながら機能せず、危機管理ができていなかった」(日大関係者)
捜査機関から寄せられた情報を無視し続け、違法薬物が見つかってもそのまま放置とは、コンプライアンス違反も甚だしい。曖昧にしておけば表面化しないとでも考えていたら極めて悪質だ。新体制のもとで信頼回復と学内改革に取り組んでいるというが、何も変わっていない。