「交通の安全見守って」 日航機墜落38年、遺族らの慰霊登山始まる

乗客乗員520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故から12日で38年となった。遺族らは早朝から標高1565メートルの墜落現場「御巣鷹(おすたか)の尾根」(群馬県上野村)に登り、犠牲者の名前が刻まれた銘標や、慰霊碑「昇魂之碑」に手を合わせた。
遺族らは現場まで片道約800メートルの登山道をゆっくりと歩いた。弟の加藤博幸さん(当時21歳)を亡くした小林由美子さん(64)=さいたま市=は「事故がなければ38年間たくさん話ができたのに、できなかったことが悔しい。(弟に)家族と交通機関の安全を見守ってください、と伝えた」と話した。
登山道につながる村道は2019年10月の台風19号で一部が崩落したが、22年秋に復旧工事を終えた。今年は11月の閉山まで規制はないが、11~13日の通行は遺族らに限定。12日午後6時からは、尾根のふもとにある「慰霊の園」で追悼慰霊式が営まれ、墜落時刻の午後6時56分に黙とうがささげられる。【西本龍太朗、日向梓】