堺市で昨年起きた母子殺害事件を巡り、南米ブラジルの連邦検察は15日、夫でブラジル国籍のバルボサ・アンデルソン・ロブソン容疑者(34)を殺人の罪で南部パラナ州の連邦裁判所に起訴したと発表した。
バルボサ被告は昨年8月、堺市東区の自宅マンションで荒牧愛美さん(当時29歳)と長女のリリィちゃん(同3歳)を刺殺した疑いが持たれていたが、事件直後に成田空港から出国し、ブラジルに逃亡した。大阪府警は翌9月、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて殺人容疑で国際手配。ブラジルの連邦警察が今年7月、サンパウロ市内の集合住宅で逮捕した。
連邦検察は「暴力行為を受けて、妻が関係を終わらせる意思を示したことが動機にある」と指摘。「関係が解消することによって、9年以上滞在した日本に暮らすための査証(ビザ)を失効するのを恐れていた」などとしている。
ブラジルは憲法で、自国民を他国に引き渡すことを禁じており、今後は同国で裁判が開かれる見通し。【サンパウロ中村聡也】