宮城県でカーシェアリング検証 高齢者の足確保

公共交通が不便な地域の住民で車を共同利用する「コミュニティー・カーシェアリング」の実証実験が、宮城県南三陸町入谷の林際(はやしぎわ)地区で始まった。住民がボランティアで運転手を務め、移動が困難な高齢者らの「足」を確保しようという試み。10月末まで走らせ、交通弱者の外出支援の手段としてカーシェアリングを活用できるか、検証する。【新井敦】
南三陸町では震災後、町が業者に委託して乗り合いバスを運行しているが、国の被災地補助が昨年度で終わったため、町が町内全域でバスを含めた公共交通の見直しを検討している。林際地区は山あいにあり、高齢化が進む。乗り合いバスは1日4本と少なく、バス停までの距離は遠い。車を持たない人や免許がない人の移動支援が課題だ。
実証実験は、林際地区の住民有志でつくる準備委員会が一般社団法人「日本カーシェアリング協会」(同県石巻市)の協力で実施。同協会は震災後の石巻市などで、1台の車を住民同士が共有し、地域で支え合う取り組みを進めている。南三陸町の実証実験では、トヨタ自動車の「トヨタ・モビリティ基金」から受けた助成金を活用し、林際地区の課題に対応した仕組み作りを考える。
準備委員会は協会から借り受けた5人乗りの乗用車1台を、地区にある宿泊施設「さんさん館」に置いて運用。買い物や通院などの外出支援で利用する場合は、希望者から予約を受け、地区内の住民がボランティアで運転し、送迎する。免許を持つ人が必要な時だけ借り、自分で運転することもできる。

車を使った住民は走行距離5キロ当たり500円を準備委員会に積み立て、ガソリン代などの経費に充てる。
週1回、乗り合いの「買い物ツアー」も企画し、1人500円で自宅と町中心街の大型スーパーなどを往復する。9月18日には3人が参加し、自宅からバス停まで歩いて15分ほどかかるという女性(81)は「バスは不便。帰りは急な上り坂を歩かないといけない。今日は家まで迎えに来てもらえて大助かり」と笑顔だった。
準備委員会の菅原辰雄委員長(72)は「外出に困っている人を支援できるように、地区の住民にカーシェアリングを知ってもらい、本格導入を目指したい」と話している。