緊張した面持ちで当別町役場に入っていくのは、北海道医療大学を運営する学校法人の鈴木理事長です。
当別町や商工会などに対して、きのう決定した北広島市への大学移転について説明しました。
(学校法人東日本学園 鈴木英二理事長)「北広島市への新キャンパス設置構想について、新キャンパスを設置するということは正式に決定をされたと。当別にもキャンパスは残すということになります」
(当別町 後藤正洋町長)「経過を全く知らされていない中で進んでいったということもありますので、町との信頼関係を損なわないような形で、大学としての課題を解決する方向にいっていただければ町としてもありがたいなと」
(当別町の関係者)「移ることの検討はしたが、残される当別町の検討はしたか?」
(学校法人東日本学園 鈴木英二理事長)「このまま当別に残っても学生が減少していく、言い方は悪いかもしれないが結果的には同じ」
町内に本部を置く北海道医療大学は、50年近くまちづくりの一翼を担って来ました。
しかし大学側はきのう、2028年4月を目標に北広島市に移転する方針を決めたのです。
移転先はボールパークの敷地内で、建設計画が発表されたJR新駅からほど近い場所です。
運営する学校法人の鈴木理事長は「教育機能はすべて移す」と話しています。
大学の移転は町の経済にも大きな打撃が想定されています。
メニューで一番人気のサガリです。
おなかいっぱい食べてもらおうとボリュームが自慢です。
こちらは当別町の中心部にある焼肉店です。
この店を支えているのは北海道医療大学の学生たちでした。
(焼肉牛牛 川岸裕幸店長)「当店は学生アルバイトを使っているので、いなくなるのが不安」
この焼き肉店では、アルバイトだけでなく客の多くも北海道医療大の学生たちで、
きょうも大学のサッカーサークルから20人の予約が入っていました。
突然の移転方針に不安を隠せません。
(焼肉牛牛 川岸裕幸店長)「学生も多く利用しているし、すごく寂しいですね。学生がいなくなって雰囲気がなくなるのは町としてもどうしていくのかなという不安がたくさんあります」
町内にはおよそ700人の学生が暮らしています。
1100戸以上あるアパートの部屋は学生が6割ほどを占めてきました。
(当別町民)「若い人がいなくなるので町の活気がなくなるのかな、それは残念」
(当別町民)「当別は学生の寮とかたくさんあるので、アパート業界の方は大変だと思います」
(当別町商工会 種田統さん)「商工会としては地元の商店街・飲食店、経済的な打撃やアパートの半分以上は学生が居住しているので、そういう部分の影響は大きいなとショックを受けています」
移転先となる北広島市は、当別町から直線距離でおよそ27キロ離れています。
JRを利用すると、札幌中心部からの所要時間は当別町までの半分ほどになるため利便性が向上し、
学生の確保につながると大学側は考えています。
北広島市ではいま、JR北広島駅の西口に複合ビルを建設しています。
1階から3階に入る商業施設の名称は「tonarie北広島」に決定しました。
再開発が着々と進む中、新たな大学の進出に期待の声が聞かれました。
(北広島市民)「当別の人にはちょっと悪いかな」
(北広島市民)「若い人がいっぱい来ると活気づくんじゃないかな」
北広島市の上野市長は、大学側からの説明はまだ受けていないと話しました。
(北広島市 上野正三市長)「学校それから医療施設についてFビレッジに移転をするということについて承知している。理事長が来た時に意見交換をすることになると思う」
マチづくりに大きな影響を与える大学の移転。
北海道医療大学は来月中旬にも会見を開いて詳細を発表するとしています。