日本の次世代ロケット「H3」の初号機打ち上げ失敗について、文部科学省の有識者会議は26日、報告書を取りまとめた。直接要因は第2段ロケットのエンジン点火装置のショートや過電流による機体制御装置の損傷で、背後要因は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の対策や確認に不足があったこととした。同日、同省の宇宙開発利用部会に提出し、了承された。
報告書では、損傷した部品や装置について、現行の主力ロケットH2Aなどでの使用実績を重視するあまり、検査や安全性の再評価が不十分になったことが失敗の背後要因だったと、JAXAにおける開発姿勢の体質的問題を指摘した。
JAXAは、報告書の指摘事項を踏まえて電気系統の強化などの対策を2号機以降に施す。また、新たに設置した「マネジメント改革検討委員会」で、失敗から得た教訓を生かして体質改善に取り組み、2号機の早期打ち上げを目指す。
国の宇宙基本計画の工程表では、2号機の打ち上げは令和5年度内と設定されているが、JAXAは詳しい打ち上げ時期を明らかにしていない。
H3初号機は今年3月7日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたが、第2段ロケットのエンジンが着火せず安全な飛行が不可能になり、地上からの信号で爆破された。