「クレージーキャッツ」のメンバーで俳優の犬塚弘(いぬづか・ひろし)さんが27日までに死去した。94歳だった。
犬塚さんの死去で、クレージーキャッツのメンバーは全員亡くなったことになった。
東京都出身。戦後、ジャズバンド活動を通して出会ったハナ肇さんとともにクレージーキャッツの前身となるコミックバンド「ハナ肇とキューバン・キャッツ」を結成。ベースを担当した。その後、クレージーキャッツに改名して活動を始め、そのバンドに植木等さんや谷啓さんを加えた。
当初は米軍キャンプやジャズ喫茶でコミカルな演奏をしていたが、その後テレビにも活動の場を広げた。昭和34年にフジテレビの開局と同時に始まった「おとなの漫画」や36年に日本テレビ系でスタートした「シャボン玉ホリデー」で一躍、人気者となる。36年には、代表曲「スーダラ節」(青島幸男作詞、萩原哲晶作曲)も大ヒットした。
「ワンちゃん」の愛称で親しまれ、俳優としても哀愁の漂う演技力を発揮。舞台「越前竹人形」や「きらめく星座」に出演したほか、映画では「男はつらいよ」など山田洋次監督作品の常連として活躍。「ツレがうつになりまして。」(佐々部清監督)や「この空の花」(大林宣彦監督)などにも出演した。平成25年には娯楽映画研究家の佐藤利明さんとの共著『最後のクレイジー犬塚弘 ホンダラ一代、ここにあり!』を出版した。