コロナの後に増えたのは…自転車盗難 無施錠は「非錠識」 京都

乗り換えに次々と盗む悪質な例も
新型コロナ禍で抑えられていた人の移動が活発化する中、京都府内で自転車の盗難が増加している。多数の自転車が止まる駐輪場で鍵を掛けていない自転車が狙われるケースが多く、容疑者が盗難車を乗り継ぐなど悪質な例も。京都府警は「油断せず確実に施錠を」と注意を呼び掛けている。
向日町署は13日、向日市役所の駐輪場で8月に無施錠の自転車を盗んだとして51歳男性を窃盗容疑で逮捕した。捜査関係者によると、この前後に乗っていたのも盗難車とみられ、男性は「空気が減っていたから乗り換えた」と説明。同署による自転車盗を巡る逮捕者は8月以降、4人に上った。
府警によると、自転車盗難の発生件数は府内全体で増加傾向にあり、2023年1~9月で計2272件と前年同期比649件増えた。5月に新型コロナが5類感染症に移行するなど制限緩和の影響が考えられるという。
また、被害に遭った自転車は施錠なしが1546件(前年同期比511件増)、施錠ありが726件(同138件増)と鍵を掛けていなかったケースが圧倒的に多かった。
こうした情勢を受け、阪急東向日駅前(向日市)では24日、向日町署員らが自転車の利用者にワイヤ錠を配るなど啓発活動を行った。チラシでは被害場所は集合住宅の駐輪場が多いことなども具体的に解説。同署の高橋聡生活安全課長は「自宅の前でも確実に施錠し、未然に被害を防いでほしい」と話した。【水谷怜央那】
中学生が標語「鍵かけないは非錠識」
自転車盗難の被害を防ぐため、京都府八幡市立男山東中(同市内里)の生徒が施錠の徹底を訴える標語を考案し、八幡署が啓発グッズに活用した。同署は標語を作った生徒らに感謝状を贈った。
自転車通学者の多い同中では生徒会が「Lock the bike」運動を実施。オリジナルのポスターを校内に張るなどして施錠の意識を高めており、今夏に全校生徒を対象に標語を募った。
同署は「鍵かけないは非錠識」「LockしてるかLookしましょう」「鍵抜かず 自転車なくなる 母怒る」の3点を選び、クリアファイルとチラシ各2000枚を作成。啓発イベントなどで市民に配る予定だ。
16日に同署でお披露目があり、標語を考案した北村慶太さん(14)▽丹羽彩月さん(13)▽横田航旗さん(13)の3人と、生徒会代表の藤原桔花さん(13)に柴田和己署長が感謝状を授与した。
北村さんは「『非常識』に『錠』の字を当ててインパクトを狙った。自転車盗に遭わないよう他の人に呼び掛けていきたい」と話し、柴田署長は「いずれも若い感性と工夫にあふれた標語。特に同世代に訴えると思う」と期待した。【鈴木健太郎】