ニュース裏表 平井文夫 まさか減税で岸田内閣の支持率が下がるとは…与野党の論戦より「社会保障改革」の議論を

岸田文雄内閣の支持率下落が止まらない。日経新聞・テレビ東京が27~29日行った世論調査で、岸田文雄内閣の支持率は前回比9ポイント減の33%、テレビ朝日系ANNが28、29日に行った調査では、同3・8ポイント減の26・9%で、いずれも過去最低を更新した。
増税で支持率が下がるのはよくあることだ。初めて消費税3%を導入した竹下登内閣では支持率が5%を切ってしまい、「消費税を下回るのではないか」と揶揄(やゆ)されたのを覚えている。
だが、減税で支持率が下がったのは筆者の知る限り初めてだ。一体どうなっているのか。
ANNの調査によると、「所得減税を評価しない」が56%に上っているのだが、「評価しない理由」のトップが「政権の人気取りだと思うから」の41%だった。
野党やメディアによる「額も少なく時期も遅い」「どうせ後から増税やるんだろ」「選挙目当て」という批判がかなり刷り込まれているようで、政権にとっては危険な兆候だ。
ただ、野党の出している「対案」にも一理ある。立憲民主党の「減税は時間がかかるから給付金で」、日本維新の会の「社会保険料の軽減を」、国民民主党の「ガソリン減税や消費減税を」は、いずれもトンチンカンな主張ではない。
もちろん政府としては反論する材料はあるのだが、国会の論戦を聞いた国民には、野党案の方がよく見えているのかもしれない。
実際、ANN調査で、立憲民主党の政党支持率が前月より3・1ポイント上昇して10・9%に跳ね上がったのは、対案の「給付金」が評価されたのではないか。
減税というのは、そもそも政治家の「人気取り」のためにやるものなのだから、それで岸田首相をいじめるのは少しかわいそうな気もする。だが、今回の減税をめぐる与野党の議論は「社会保障のあり方」について考えるきっかけにはなった。
例えば、日本維新の会の社会保険料の軽減だが、正直言って時限的な軽減はあまり意味はないと思う。ただ、現役サラリーマンの健康保険料と年金保険料はあまりにも高い! しかも企業と折半なので、事実上、その倍額の保険料を払わされていることになる。
さらに健康保険料の半額は、後期高齢者医療や国保(自営業者)に回されている。これは何とかしないとマズイだろう。
解決策は、高齢者の自己負担を現役世代と同じ3割にするしかないと思うのだが、政治的に無理だと言うなら、せめて所得制限を付けるとか、保険適用の範囲を狭めるとかしないと制度そのものがもたなくなる。
「岸田減税」の悪口も結構だが、「社会保障改革の議論」もきちんとやってほしいのだ。 (フジテレビ上席解説委員・平井文夫)