新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」へ移行して8日で半年を迎える。依然として感染力が強く収束には至っていない状況下で、新型コロナ以外の感染症患者の増加が顕著だ。例年12~3月の冬場に流行するインフルエンザについて、厚生労働省は今年は本格的な流行が早まっている可能性があると注視。コロナ禍で免疫力が低下した影響ともみられ、注意を呼びかけている。
厚労省によると、定点医療機関から10月23~29日の1週間に報告された新型コロナの新規感染者数は約1万4千人。前週比0・88倍で、8週連続で減少した。5類移行後の感染「第9波」のピーク時(8月28日~9月3日)の報告数は約10万件だったが、今年1月ごろの第8波のピーク時と比較すると7割にとどまっていた。
一方で、他の感染症は増加している。第9波前の6~7月頃には乳幼児がかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」やかぜ症状を引き起こす「RSウイルス」の患者が急増。定点報告数は例年の数倍を記録した。
第9波が下火となり始めた8月下旬ごろからはインフルエンザの感染者が増加。10月23~29日の定点報告数は約9万7千人と、例年インフルエンザが流行する12月下旬~1月上旬と同水準に達した。毎年夏にピークを迎える咽頭結膜熱(プール熱)も8月下旬ごろから増え始め、東京都や大阪府、京都市では10月に入って警報基準値を超えるといった異例の状態だ。
コロナ禍の約3年間はインフルエンザ患者が例年に比べて少なく、近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は「マスク着用や行動範囲を狭めたことのほか、一つのウイルスが流行すると他のウイルスに感染しづらくなる『ウイルスの干渉』など複合的な要因が推測される」と説明。「毎年ウイルスに感染する人が多ければ集団免疫を保つことができるが、この3年間で免疫が下がった可能性がある」としている。
医療現場では、今もコロナ禍の影響が尾を引いている。宇治徳洲会病院(京都府宇治市)では第9波のピークを迎えた8月上旬、479床の病床がすべて埋まった。9月に入ってからは、15歳未満のコロナ以外の感染症患者が1月の3倍超に。10月以降も増加傾向が続いているといい、小児科部長の篠塚淳医師(46)は「さまざまな面でコロナは影響を及ぼしており、5類移行後も医療機関の負担は変わっていない」と厳しい表情で話した。(鈴木文也)