「月3日出勤で30万円」 実態に合わない行政委員の報酬を見直しへ

「月3日勤務で報酬約30万円」。兵庫県は、教育委員や公安委員など非常勤の行政委員の報酬に、勤務日数に関わらず一定額を支払う月額制を採用している。他の多くの自治体は日額制を導入しており、全てで月額制を続けているのは全国47都道府県で兵庫、和歌山両県だけ。その兵庫で、是正の動きが起きている。
地方自治法に基づき各自治体は、教育、選挙管理、人事の各委員会や監査委員を設置する。都道府県ではこれに加えて公安、海区漁業調整、内水面漁場管理などの行政委員会を置く。教育長ら一部を除いて委員は非常勤で、報酬は原則的に日額で支給するよう規定するが、条例で月額制に変更できる。
兵庫では計9委員会で非常勤の委員は計82人。報酬は海区漁業調整(25人)と内水面漁場管理(10人)の2委員会は会長6万9000円、委員5万8000円だが、残る委員会は現職県議の兼務を除いて27万~33万円。82人の月額報酬を単純に積み上げると年間1億8000万円以上の人件費となる。このほか、公務出張時の交通費や手当も支給される。
県によると、多くの都道府県は委員会の活動状況に合わせて月額制と日額制を組み合わせている。山梨、静岡、大阪、山口、徳島の5府県は全て日額としている。月額制を採用している和歌山県の報酬は一部の委員を除いて月額15万~19万円余りだ。
月約30万円の報酬を受け取る行政委員はどの程度の活動実績があるのか。兵庫県の各委員会に問い合わせた。
教育委員会は常勤の教育長に加え、経済、医療、教育などの分野から委員5人が選任されている。月2回の定例会に加え、学校での講義や視察、勉強会などがあり、2022年度の委員の年間の勤務日数は平均38・6日。月平均で3日余りだ。
「年間で数千万円の人件費の削減が見込まれる」。9月11日、兵庫県庁で記者会見した県議会自民党会派の議員が力説した。会派はこの日、斎藤元彦知事に行政委員会の月額報酬を日額制に変更するよう申し入れた。日本維新の会系会派なども同様に日額制の導入を求めた。斎藤知事も見直しに前向きな姿勢を示している。【宮本翔平】