日本最大1000人規模の風俗スカウトグループ幹部(32)が逮捕 始まりは3年前の「恐怖のスカウト狩り」事件だった

全国最大の風俗スカウトグループの幹部が逮捕された。警視庁暴力団対策課はグループのメンバーを制裁と称して監禁したなどとして、監禁と強制わいせつ致傷の疑いでスカウトグループ「ナチュラル」幹部の沢田和哉容疑者(32)ら男14人を逮捕したと11月1日に発表した。警視庁担当記者が明かす。
「被害者はグループの『規約』に違反したとして、新宿・歌舞伎町のマンションでフライパンやヘルメットなどで殴る蹴るの暴行を受けた。ほかにもわいせつな行為を受けて全治半年のけがを負ったものの、そのまま9日間、監禁されていた」
登録者は1000人以上、逮捕されたのは約700人を率いるトップ
ナチュラルは、登録者数が1000人を超え全国最大のスカウトグループとされる。
「ナチュラルは5つの班に分かれており、沢田容疑者は約700人を率いる最大の班のトップ。逮捕された他の13人も被害者も全員、この班所属でした」(同前)
実際に稼働しているスカウトは登録者数より少ないと見られているが、街中でめぼしい女性に声をかけては風俗店での勤務を勧誘し、紹介先の店から女性の売り上げのマージンをもらうのがスカウト業だ。最近、実入りはよかったという。飲食店関係者が明かす。
「新型コロナウイルス禍では風俗店も軒並み閑古鳥でスカウト業界もかなり仕事が減っていたとみられますが、最近はすっかりコロナも明けて風俗店も繁盛し始めた。それに伴い、スカウトも息を吹き返し始めているようです」
警視庁のマークが始まるきっかけは恐怖の「スカウト狩り」事件
新宿・歌舞伎町を拠点とするマンモスグループのナチュラル。捜査対象になったのは実は今回が初めてではなく、警視庁がマークし始めたのは数年前に遡る。きっかけは2020年6月に表面化し、歌舞伎町を恐怖に陥れた「スカウト狩り」事件だった。
「ナチュラルが別のスカウトグループからメンバーを引き抜いたことでトラブルが起き、指定暴力団住吉会系の組が収拾に動いたが、話し合いが決裂。これがきっかけで『メンツを潰された』として組員らがナチュラルのスカウトをみつけては袋だたきにする『スカウト狩り』が発生した」(暴力団関係者)
一時期は歌舞伎町からスカウトが姿を消すという事態にまで至ったこの事件。暴対課の前身の組織犯罪対策四課が同年10月、ナチュラル側と組員側双方を逮捕し解決を見た。だが、その後も警視庁が監視を続けてきたとみられる。
捜査関係者が明かす。
「本来、スカウトを取り締まるのは風営法を管轄する保安課だが、ナチュラルは暴対課が捜査している。今回の事件は、スカウトが得た売り上げが、暴力団に流れていないか、組織の実態解明の糸口になるだろう」
捜査のメスはどこまで届くのか。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年11月16日号)