岸田文雄内閣にまた、厳しい現状が突き付けられた。産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)と、NHKが13日、それぞれ公表した世論調査で、内閣支持率は発足以来、最低を記録した。自民党支持層の内閣支持率も急落しており、政権運営は、さらに厳しさを増しそうだ。減税方針が目玉の経済対策が不評だったうえ、政権内の不祥事が相次いでいる。岸田首相は立て直しを図れるのか。
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衝撃の内閣支持率は別表の通り。ともに、政権維持の「危険水域」とされる30%以下に沈み込んだ。NHK調査では、自民党が2012年12月に政権を奪還してからの歴代内閣でも、最低水準に落ち込んだ。
岸田首相周辺は「報道各社の調査が一斉に下落したのは〝危険信号〟だ。特に、自民党支持層が『岸田離れ』を加速させているのが危うい。支持率下落の底が抜けたように感じる」と焦りをにじませた。
確かに、産経・FNN調査では、自民党支持層の内閣支持率が、前月比9・1ポイント減の64・5%と急落している。
岩盤保守層をはじめ、各方面から批判が強かったLGBT法が成立した6月でも、自民党支持層の内閣支持率は78・6%だっただけに、「岸田離れ」が如実になった。
政策の評価も低い。
産経・FNN調査では、17兆円規模の経済対策について、「評価しない」が66・2%に達した。評価しない理由は、「今後、増税が予定されているから」が39・9%で最多になっている。
NHK調査でも、所得税・住民税の減税方針を「あまり評価しない」「まったく評価しない」がおよそ6割を占めた。評価しない理由は、「選挙対策に見えるから」が38・4%と最も多く、厳しい政治不信が浮き彫りになった。
政治評論家の有馬晴海氏は「政権浮揚するプラス材料がない。税金滞納問題が浮上した神田憲次財務副大臣が辞任したが、政務三役が不祥事で短期間で3人も辞めた。世論の評価はいよいよ厳しくなり、支持率はさらに落ちる可能性がある。支持率下落の幅が大きいのは、二転三転した減税方針などに対する不信感だ。世論が岸田政権に感じていた『違和感』が、より具体化している」と指摘した。