「返還求めない合意」無効=旧統一教会の献金巡り判決―東京高裁

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者だった関西地方の女性が、教団への献金など約1億8000万円について違法な勧誘を受けたとして返還を求めていた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。木納敏和裁判長は、女性と教団が交わした「将来いかなる請求もしない」との合意を「公序良俗に反して無効」と判断。合意は有効として訴えを却下した一審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
判決によると、女性は2015年、息子が教団側から頼まれて借り入れた金の返済について話し合った際、「将来にわたり献金の返還など、いかなる請求もしない」とする合意書を交わしていた。
木納裁判長は、合意について「裁判による権利救済を一方的に否定するもので、合理性を欠く」と判断。女性が合意の法的な意味を十分理解していたとは認められないとも指摘し、「有効とすれば正義に反する結果を招くと言わざるを得ない」と結論付けた。
その上で、献金の有無などについて審理を尽くすため地裁に差し戻した。
女性の代理人の渡辺博弁護士は「教団は多くの信者と同様の合意を結んでいる。献金の返還を諦める人に希望を与える判決だ」と評価した。
[時事通信社]