クマ被害69人の秋田県、頭数の上限理由に狩猟自粛を要請…危険な個体の駆除は継続

今月始まったクマの狩猟について、設定していた狩猟頭数の上限に達することが確実になったとして、秋田県が猟友会などに14日から狩猟を自粛するよう求めたことがわかった。狩猟とは別に、危険なクマを駆除する有害捕獲は続ける。
県自然保護課によると、今年度の猟期(11月1日~来年2月15日)の狩猟上限は100頭だが、10日までの県への報告数は既に70頭に上る。同課によると、今年度は銃弾の費用補助などを県が検討していることもあり、ハンターが積極的に狩猟を行ったとみられるという。2017~22年度の狩猟数は31~52頭だった。
狩猟を含まない、今年度の県内の捕獲数は6日時点で1427頭。県設定の総捕獲上限1582頭に近づいている。ただ、集落周辺などに現れるクマは人に危害を及ぼす恐れがあるとして、上限を超えても有害捕獲は続けるという。
同課は「奥山で行う狩猟は長期的には人身被害を防ぐ効果があるが、クマの保護管理とのバランスを取る必要もある。人身被害に直結するクマは有害捕獲で対応したい」としている。

県内では14日もクマの被害が確認された。午前7時20分頃、鹿角市十和田末広の会社倉庫内で、女性従業員がクマ(体長約1メートル)を発見。鹿角署によると、窓ガラスが割られ、くず米約1キロが食い荒らされていたという。
また、県警は同日、北秋田市阿仁根子の山林で10月20日午前6時30分頃、箱わなの見回り中だった同所の男性会社員(50)がクマ2頭(体長約1メートルと約50センチ)と遭遇し、逃げる際に斜面を転落して胸の骨を折るなどのけがを負ったと発表した。
県警地域課によると、今年の人身被害は69人。