2022年1月、大学入学共通テストの会場だった東京大(東京都文京区)近くで受験生ら3人を刺したとして殺人未遂罪などに問われた名古屋市の少年(19)の裁判員裁判の判決で、東京地裁(中尾佳久裁判長)は17日、少年に懲役6年以上10年以下(求刑・懲役7年以上12年以下)の不定期刑を言い渡した。弁護側は「刑罰を科すのではなく、(更生の可能性を重視する)保護処分とすべきだ」と訴えたが、退けられた。
起訴状によると、私立高校2年だった少年は22年1月15日、東大近くの路上で、共通テストの受験に来た高校3年の男女2人と、通りかかった70代男性の計3人の背中を包丁(刃渡り約14センチ)で刺して殺害しようとしたとされる。70代男性は全治3カ月の重傷、受験生2人はいずれも同2週間のけがをした。
検察側は公判で、少年が東大理科3類を目指していたが成績が落ちて自暴自棄になり、無差別殺人を起こして罪悪感を抱いて自殺しようと考えたと指摘。「無防備で落ち度のない被害者の命を狙っており危険性が高い」と批判していた。
一方、少年は起訴内容を認めた上で謝罪し、「人に誇れるものがない中、勉強にたどりつき、傲慢になってしまった」と振り返った。弁護側は視野が狭い未熟な少年が起こした事件で、少年院で多様な価値観を学ぶ必要があるとし、家裁で審理し直すべきだと反論していた。【斎藤文太郎】