消費税率が1日、8%から10%に引き上げられた。増税初日、大規模な混乱は起きていないものの、一部のコンビニエンスストアや外食のレジなどでトラブルが発生。新たに導入された軽減税率、キャッシュレス決済時のポイント還元に買い物客の戸惑いも見られた。増税で消費者の節約志向が強まり、景気が悪化する不安を抱え、政府は経済対策を視野に入れる。
安倍晋三首相は消費税増税の前から景気リスクが顕在化した場合の追加経済対策の可能性に重ねて言及してきた。1日も首相官邸で記者団に「影響はしっかりと注視していく。万全の対応を取っていく」と強調した。政府は経済統計の公表などを待たず、増税後の景気変調の「兆し」を見極め、迅速に対応する方針。対策を講じる場合は年末に2019年度補正予算案を編成し、20年度当初予算案にも追加歳出を盛り込む公算が大きい。
コンビニ大手のミニストップは1日、レジ更新時のトラブルで、値引き商品の料金を過大に請求したケースがあったと発表した。ほかにも本来、税率10%の商品を誤って8%で販売したり、8%の商品のレシート表記が10%と誤記されたりした。同日午前3時ごろまでに正常化し、過大請求分の差額は店舗で返金する。
回転ずしチェーン「スシロー」では一部店舗で消費税を加算できない状態が発生。大阪メトロや名古屋鉄道でも一時、自動券売機で乗車券を購入できない障害が起きた。増税に伴うシステム設定切り替えの作業ミスなどが原因とみられる。
増税と同時に、家計の負担を和らげるため、軽減税率が初めて導入され、飲食料品などの税率は8%に据え置かれた。増税後の需要の落ち込みを防ぐ目的で、中小の小売店でクレジットカードなどで決済した際に最大5%のポイントを還元する制度も来年6月末まで実施する。