住友生命保険京都支社(京都市)の保険外交員の50代女性が、営業で使う配布用カレンダーなどの物品の費用やタブレット端末の使用料を給与から天引きされるなどしたのは不当だとして同社に計約210万円の支払いを求める訴訟を京都地裁に起こした。女性の代理人弁護士は「生命保険業界の慣行とみられる。代理店を訴えた例はあるが、保険会社への同様の訴訟は他にない」と話している。
訴状などによると、女性は2012年10月~18年12月、保険商品を顧客に説明するため会社が貸与するタブレット端末の使用料金▽顧客に配布する広報紙・誌の代金▽営業先に配る会社のロゴ入りチョコレートなどの物品費用――として給与から191万円を控除された。また、業務で使った携帯電話代21万円も負担させられた。
端末は18年7月に契約行為にも使用するようになって以降、控除がなくなった。広報紙は1部5円、広報誌は1冊60円で、物品代には顧客の子供の絵画コンクールの参加記念品代や入選作品をカレンダーに仕立てる費用も含まれていた。女性は「賃金から業務上の経費を控除するのは労働基準法に違反する」などと訴えている。
女性は7月31日に労働審判を起こしたが、会社側は「入社時に説明している」と反論し、訴訟に移行した。京都市内で10月1日に記者会見した女性は「会社には保険外交員が3万人いる。会社の論理だと今後、職場のロッカーや机の使用料まで取られかねないと思い、提訴した」と話した。
同社広報室は毎日新聞の取材に、「訴状の内容を確認できていないのでコメントは差し控える」とした。【添島香苗】