大雨、休校の判断はいつ? 決定後に「もう登校した」嘆きも

「広い範囲で数十年に一度の大雨が降る恐れがある」として気象庁が福岡、佐賀、長崎3県に大雨特別警報を発表した28日、福岡県や長崎県の読者から「小中学校は臨時休校なのに、高校はなぜ学校で対応が分かれるの?」と、あなたの特命取材班に疑問の声が寄せられた。
福岡県に住む女性によると、28日朝、高校生の子どもが自宅を出た後の午前7時20分に学校から「11時まで自宅待機」という連絡があった。女性は「親としては行かせたくないが、子どもは『みんなが行くから』という理由で登校する。もっと早く(自宅待機を)判断してほしかった」と残念がる。
長崎県内の男性は「娘の学校は避難指示が出ている地域にあるが、『交通機関が運行されていれば登校するように』と連絡があった」といぶかる。福岡市内の高校に子どもが通う親は「特別警報の中、学校に行きなさいという判断はいかがか」と訴えた。
福岡県教委高校教育課によると、夏休み中を除く県立高校76校のうち49校が休校。うち13校は当初、始業時間の繰り下げや自宅待機だったが、最終的に休校になった。担当者は「県教委としての判断基準はなく、学校ごとの危機管理マニュアルで休校などの判断をしている」と話した。
佐賀県では授業や補習があった県立高校28校すべてが休校。長崎県では夏休み中を除く40校のうち14校が休校した。両県教委によると、休校はいずれも学校ごとの判断で「地域性や通学手段に違いがあるので、あくまで生徒の安全を確保できる対応を各校で実施している」(高校教育課)。
福岡市教委は27日午後7時半の時点で、市立小中学校と特別支援学校の臨時休校を決定した。市教委の基準では、大雨特別警報や多数の校区で避難指示・勧告が出た場合、市教委として市内一斉や中学校区単位での休校をすることになっているという。
一方で、市立高校については4校中2校が臨時休校で、残る2校は通常通りの登校。「市立高校の危機管理マニュアルでは、台風で暴風警報が出る場合は臨時休校になるが、大雨の場合は登校が基本となっている」と担当者は説明した。
同じ市立でも小中学校と高校で対応が分かれるのはなぜか。担当者によると「小中学校と特別支援学校は市教委に管理責任があるが、高校は各学校に管理責任があるため」という。
福岡市の高島宗一郎市長は27日午後9時すぎにツイッターで「福岡市立のすべての小学校、中学校、特別支援学校は臨時休校になります」と発表。高校生たちから「高校も休みにしてください」といった返信が相次いだ。高島氏は約40分後に「高校生の気持ちはわかるよ。(中略)ただ大雨で遅れた場合でも遅刻にしないってことだから、充分気をつけて高校に行ってね。頑張れ」と投稿。これに対しても「高校生の方が登下校も長いし危ない」「判断基準を見直してほしい」などの訴えが相次いだ。
文部科学省が教育機関向けに作成している「学校の危機管理マニュアル作成の手引き」では、大雨発生時の対応のポイントとして「翌朝の登校時に危険性が予想されている場合は、前日(登校前)に臨時休業や始業時刻を遅らせるなどの措置を判断し周知する」とある。同省は「地域によって災害のリスクは異なるため、さまざまな情報を分析して、各校ができるだけ早期に対応を検討してほしい」としている。(福間慎一、坂本信博)