長野県松本市の松本少年刑務所にある、全国の刑務所で唯一の中学「市立旭町中学校桐分校」に9日、初めて女性の受刑者が入学した。20~60歳代の5人で、1日7時間の授業や自習を通じ、義務教育課程の内容を1年間学ぶ。
同分校は1955年、受刑者の約8割が義務教育を修了していなかったため、更生や社会復帰を支援する目的で設立された。設備面や職員の態勢面の制約から、2023年度までに卒業した776人は全員が男性だ。しかし、女性の入学希望も多く、法務省は女性職員の確保やトイレの整備などを進め、24年度は全国の女子刑務所から入学希望者を募った。同年度、男性の在籍はない。
9日に同刑務所の体育館で行われた入学式で、中道徹所長は「受刑期間中に学び直しの機会を得ることができた意味をよく考え、勉強に励んでください」と呼びかけた。
入学生の中には、出所後に定時制高校入学を目指す考えの女性もいる。代表してあいさつした60歳代の女性受刑者は「毎日の授業や勉強に粘り強く取り組み、人としても成長したい」と、誓いの言葉を述べた。