「共産党を利用した女」vs「共産党に利用される女」―。20日に告示を迎える東京都知事選(7月7日投開票)は、こんな戦いになりそうだ。あるいは、「学歴疑惑」vs「国籍疑惑」の対決と言った方がいいだろうか。小池百合子都知事はいまだ3選出馬を表明していないが、メディアは事実上、小池氏と立憲民主党の蓮舫参院議員の一騎打ちと構図を決めている。
蓮舫氏は、早々に派手な宣伝を展開している。同党の枝野幸男前代表らと行った街頭演説が、公職選挙法の禁じた告示前の選挙運動「事前活動だ」との非難を浴びたのは記憶に新しいところだ。
このほか先週末には、都内一部地域で目を疑うビラが配られて話題となった。
ニッコリ笑う蓮舫氏の顔写真が大写しとなり、「新しい政治へ」「蓮舫参院議員 都政に挑戦!」「小池都政をリセット!」などと見出しが入り、「政策」が書かれたカラーのビラ。しかし、その下部には、発行者として「日本共産党」と記されている。「あれ、蓮舫さんっていつの間に共産党の人になったの?」と見た人が勘違いしそうな代物だ。
このビラの内容も公選法が禁じる「事前運動」が疑われる要素満載だが、筆者が注目したのはその点ではない。なぜ「共産党製」となったのか、である。
東京都の人口は約1400万人。うち有権者は約1150万である。超巨大選挙区でたった1人を選ぶ選挙だ。だから、知名度が勝つための必須条件となる。
テレビタレントから転身して東京の参院議員を約20年務め、国会での噛みつきパフォーマンスでおなじみの蓮舫氏。知名度はそれなりに高いが、やはり小池氏には及ばない。
ちなみに2004年、蓮舫氏初当選の際の得票は92万票。6年後の10年には171万票まで伸ばし、16年にも112万票を得たが、直近の20年には67万票、4位での当選というところまで下げた。参考まで、小池氏は前回の都知事選で366万票をたたき出している。
蓮舫氏が今回、都知事選挙への出馬を決意した理由の1つは、この得票力・存在感の低下だろう。
自民党の不人気に乗って出れば相当の得票が見込める。敗けたにしても、善戦すれば衆院くら替えの前宣伝になる。ちなみに、蓮舫氏のくら替えが噂されたのは東京の新26区(目黒区、大田区の一部)。以前は立憲民主党で蓮舫氏の同僚だった松原仁・元国家公安委員長(無所属)の選挙区である。
とはいえ、自民党の不人気に乗じるだけでは、366万票の小池氏にまったく勝ち目がなく、存在感を上げるにも心許ない。そこで不可欠だったのが共産党との尋常ならざる共闘なのだ。