防衛大でのいじめを巡る訴訟で国の責任を認めなかった3日の福岡地裁判決を受けて、原告側弁護団は判決後の集会で「いじめや暴行が防衛大にまん延していた事実を頭から無視した内容だ」と判決を強く批判した。
弁護団は国への情報公開請求で防衛大の処分者リストを入手し証拠提出していた。
それによると、暴力行為などの私的制裁で懲戒処分されたのは、2007~16年度で計74人。原告の男性が入学した13年度は5人だった。一方で、未遂を含む自殺者や自傷行為などをした人は08~13年度で10人いた。
佐藤博文弁護士は、防衛省が13年3月に防衛大を含む全組織に私的制裁の厳禁といじめなどの早期発見の徹底を促す通達を出していたことも指摘。「安全配慮義務違反のハードルを不当に高く上げた判決で容認できない」と憤った。【伊藤和人】