台風7号の接近を受け、海上保安庁は14日午後、海上交通安全法に基づき、大型船などを対象に東京湾からの退避を求める「湾外避難・入湾回避勧告」を出した。2021年の同法改正後、東京湾での発出は初めて。
勧告の主な対象は、風の影響を受けやすいため「高リスク船」とされる▽長さ160メートル以上のコンテナ船、タンカー▽同200メートル以上の客船、フェリー▽2万5000総トン以上の液化ガス船――など。
14日午後3時から勧告解除までの間、洲埼灯台(千葉県館山市)と剱埼灯台(神奈川県三浦市)を結ぶ線より北の海域から退避する必要がある。勧告に従わない船には退去命令が出る可能性がある。高リスク船以外も15日午後10時以降、入湾を避けるよう促す。
近年は台風を避けるために湾内に停泊した船舶が、いかりを下ろしたまま風に流されて衝突する「走錨事故」が相次いでいる。18年9月の台風21号で、大阪湾に停泊中のタンカーが関西空港の連絡橋に衝突し、関空が一時、機能不全に陥った。19年9月の台風15号でも、東京湾内で船舶同士や道路への衝突が4件発生。いずれの台風も最大風速が毎秒40メートルを超えていた。