安倍晋三首相は4日の衆院本会議で、第4次再改造内閣発足後初の所信表明演説を行った。
首相は、天皇陛下の代替わりに触れて「令和の時代の新しい国創り」を進めると強調。憲法をその「道しるべ」と位置付け、衆参両院の憲法審査会で改憲議論を始めるよう呼び掛けた。子育て世代の負担軽減や高齢者の雇用支援に力を注ぎ、全世代型社会保障制度の構築に挑戦する方針も示した。
所信表明演説は5月の改元後初めて。首相は憲法について「令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ憲法審査会ではないか」と指摘。「私たち国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たそうではないか」と与野党に訴えた。
「1億総活躍社会」に向けた取り組みでは、10月からの幼児教育・保育無償化などに触れつつ「子育て世代の負担を減らす」と表明。高齢化社会に対応して70歳まで就業できる環境を整え、「子どもからお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度を大胆に構想する」と述べた。
10月からの消費税増税にも言及。「税率引き上げによる影響には、引き続き十分に目配りしていく」と対応に万全を期す考えを示した。
外交分野では、米国と最終合意した貿易協定について「日米双方にウィンウィンとなる結論だ」と成果をアピール。「自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へ広げていく」と語った。
北朝鮮への対応に関しては、「米国と緊密に連携し」などと記すにとどめ、従来は連携相手としていた韓国に触れなかった。韓国については「重要な隣国だ」としつつ、元徴用工問題などを念頭に「国際法に基づき国と国との約束を順守することを求めたい」と注文を付けた。