オレンジ色に染め上げた髪は腰まで伸び、黒いタイツに花柄のミニスカート姿の女は、手に持っていたバッグから黒いテープを取り出し、施設内のコンセントにペタペタと貼り続けていた。その数なんと86カ所に及ぶ。
静岡県河津町にある爬虫類・両生類と触れ合える体感型動物園「iZoo」で今月9日、事件は起きた。開園して30分が経った午前9時30分過ぎ、1人で施設を訪れた女はコンセントの前でしゃがみ込むと、慣れた手つきでテープを素早く貼り、立ち上がってすぐにその場から移動。家族連れで賑わう園内を歩き回り、周囲をキョロキョロと見渡しながら壁や延長タップ、男女トイレ、温水洗浄便座まで、ありとあらゆるコンセントの差し込み口に黒いテープを貼っていた。まるで何か意図があるのではと思わせるほど、きれいに貼り付けてあった。
同園の白輪剛史園長が振り返る。
「テープが貼られていたのは使用していないコンセントだったため、翌日まで気付きませんでした。現場のスタッフから『テープが貼られてますけど、使えますか』『使っちゃダメなんですか』と問い合わせがあり、逆に『なんでそんなん貼ってあるの?』って聞いたら、『トイレにも貼ってあります』って。業者やスタッフに聞いても皆、『知らない』って言うから防犯カメラを調べたところ、不審な女がテープを貼る様子が写っていました」
■伊豆の観光施設で大規模被害
この動物園とは別の施設でも黒テープが見つかっている。iZooから車で30分ほど離れた系列施設の体感型カエル館「KawaZoo」だ。女はiZooで共通入園券を購入し、車でKawaZooに移動して犯行を重ねていた。
いたずらにしてはあまりにも不可解で気持ちが悪かったことから、白輪園長が被害状況についてSNSに投稿すると、周辺の伊豆アニマルキングダムや熱川バナナワニ園、下田海中水族館など8カ所の観光施設から同様の被害情報が寄せられたという。
「テープをはがす手間も時間もかかりますし、そもそもお客さんがコンセントを触ることは想定していません。今回はテープだけかもしれませんが、他に何かされる怖さもある。コンセントから器具を抜かれれば動物の命に関わります。防犯カメラの映像で容姿を確認しましたが、心当たりはまったくなかった。スタッフたちも誰も記憶になく、『40代ぐらいでしょう』と口をそろえていました。当初は『恨まれているんじゃないの』って言う人もいたが、ウチだけじゃなかった」(白輪園長)
動機は不明。一体何の目的で……。同園は警察に被害届を提出したという。
電源は動植物の温度調節などに不可欠で火災の原因にもなる。決して許されることではない。