電子タバコで肺疾患 全米1080人が発症 18人死亡「もはやアウトブレイク」

米国では今月1日までに、電子タバコが原因で、1080人が呼吸器不全などの肺疾患を発症し、このうち18人の死亡が確認されたと米疾病予防管理センター(CDC)が発表した。患者の多くが、大麻に含まれる有害成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が含まれるカートリッジを使用していたことも明らかになった。
米国では今年6月以降、重度の急性肺疾患で入院する患者が相次いでいて、いずれも「e-cigarettes」とか「vapes」と呼ばれる電子タバコの喫煙歴があることが判明している。
CDCによると、この半年間で医療機関から報告があった患者数は、48州と米領ヴァージン諸島で合わせて1080人にのぼっており、このうち15州で18人が死亡。
電子タバコのどんな化学成分が、肺疾患を引き起こすかはいまだ不明だが、これまでの聞き取り調査で、患者578人の約8割がTHCを含むカートリッジを使っていたほか、約6割がニコチン含有製品の使用を報告している。
また、患者の7割は男性で、20代の若い世代が大半を占めているが、35歳以上も2割近くおり、最高年齢は75歳、最も若い患者は13歳だという。
患者の多くが、咳や息切れ、胸の痛み、疲れやすさなどの症状が出始めてから数日~数週間以内に発症しており、CDCは「電子タバコのアウトブレイク(流行感染)」だとして、電子タバコの使用中止を呼びかけている。

日本国内で販売されている電子タバコは、専用カートリッジに入ったリキッドと呼ばれる液体を電気で加熱して、発生する蒸気(ベイパー)を吸引する仕組みで、国内で流通しているリキッドの多くはニコチンを含有していないものが一般的だ。
しかしなかには、葉タバコを加熱することでニコチンを含むエアロゾルを発生させる非燃焼・加熱式タバコや、ニコチン入りのリキッドタイプもインターネットを通じて売買されており、日本呼吸器学会では「従来のタバコと同様に健康リスクや受動喫煙の可能性がある」という見解を示して、公共の場所での使用に反対している。