福島県双葉町立双葉北、双葉南両小学校の5、6年生の児童11人が2日、東京電力福島第1原発事故後に最大約1400人が避難した埼玉県加須市を修学旅行で訪問した。児童は、事故直後の2011年4月に双葉町の小学生約100人を受け入れた市立騎西小学校で当時校長だった松井政信さんの話に耳を傾けた後、市立種足小学校の児童と交流した。
加須市には事故後、双葉町の住民が避難しただけでなく、町役場も約2年3カ月、市内の旧県立騎西高校に置かれた。その後、役場は福島県いわき市に移り、南、北両小も同市の仮校舎で授業を行っている。
種足小は15年から6年生が修学旅行で仮校舎を訪ね、両小の児童と交流。両小と種足小の5年生がテレビ電話で交流する授業がきっかけで、今回の訪問が実現した。
松井さんは「当時はランドセルを集め、(避難の)ストレスを減らそうと、マジックショーなどのイベントもした。運動会では、騎西小だけでなく、南小と北小の校歌も(一緒に)歌った」などと当時の様子を語った。松井さんが「(当時)受け入れて困ったことはない。お金では買えない貴重な体験ができた」と話すと、児童は真剣なまなざしで聞き入った。
双葉北小6年の堀本陽斗さん(12)は「双葉と埼玉との歴史を忘れず、感謝の気持ちを持ちながら生活していきたい」と感想を述べた。
種足小では約160人の全校児童が校歌を歌って双葉の児童を歓迎。双葉の児童から種足小には、友好の証しとして、顔を青色で縁取った「双葉だるま」が贈られた。