働き方改革が進んでいる企業の中間管理職ほど、業務量が増えたと感じている――。人材サービスを手掛けるパーソルグループ傘下のパーソル総合研究所(東京・港)は10月3日、中間管理職の業務量に関する調査結果を発表した。働き方改革の目標が主に非管理職の従業員の業務量削減に向けられ、管理職にはむしろ負担がしわ寄せされている実態が明らかになった。
非管理職の「労働時間削減」のひずみが管理職に
調査は同研究所が2~3月、全国の企業の中間管理職2000人と、企業の人事担当者300人を対象にWeb上で実施。管理職が自分で感じている就業の実態及び、人事が自社の中間管理職に対して行っている支援や課題感について聞いた。
パーソル総研は中間管理職の人に対し、まず「自社で働き方改革が進んでいるか」と質問。肯定と否定の2群に分けた上で、会社での自身の業務量が増加しているかなどについて聞いた。「働き方改革が進んでいる企業」の中間管理職は、62.1%が「自らの業務量が増加した」と回答した。「働き方改革が進んでいない企業」の中間管理職の回答率(48.2%)を上回った。
パーソル総研の担当者は「現在多くの企業で進んでいる働き方改革は、主に非管理職の労働時間の削減に矮小化され、ひずみが発生している」と指摘する。本来は働き方プロセス全般の見直しが必要なところ、一般社員の労働時間に上限を設ける目先の目的に走った結果、中間管理職にそのしわ寄せが業務量の増加という形でのしかかっていると見る。
中間管理職の負担を認識していない人事
実際、働き方改革を主導する人事と中間管理職の間では、業務負担に対する認識のずれが発生しているようだ。
調査で「中間管理職が抱える業務上の課題」について中間管理職本人と人事担当者に聞いたところ、管理職の人の回答で1位となったのは「人手不足」。一方、人事がトップに挙げたのは「働き方改革への対応増加」となった。2、3位の項目でも両者は一致しておらず、管理職の業務負担について人事の認識と現場の状況との間での食い違いが明らかになった。
また、「中間管理職への支援をしているか」という質問に対しても、人事担当者の24%が「特に行っていない」と回答。一般の従業員に比べ、働き方改革において中間管理職の業務量の問題が盲点になっていると言えそうだ。
管理職を希望しないサラリーマンが増加しているとよく言われる、現在の日本の企業社会。パーソル総研の担当者は「働き方改革を、業務プロセスや組織風土の改革といった段階に進める必要がある」と指摘する。