兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会は25日、斎藤氏に対する3回目の証人尋問を行った。斎藤氏は告発を巡る県の対応を「適切だった」とし、パワハラ疑惑も「業務上の指導」とするなど、従来と同様の答弁を繰り返した。証人尋問は今回で最後の予定で、百条委は来年2月中旬をめどに調査報告書をとりまとめる。
斎藤氏への証人尋問はこれまで8、9月に計2回実施された。知事に再選されてからは、今回が初となる。
問題を巡っては、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月、一部の報道機関などに告発文書を送付。4月には県の公益通報制度を利用し、ほぼ同じ内容を通報した。県は5月、「(文書は)核心的な部分が事実でない」とし、公用パソコンで私的な文書を作成していたことなど他の3件の不適切な行為も含め、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。
斎藤氏は25日の質疑で、「真実ではないことが書かれており、誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書だと認識していた」と述べ、公益通報で保護される対象ではないとの考えを示した。懲戒処分についても、「中傷性の高い文書を作成したことへの処分で、適切な対応だった」と述べた。
一方、参考人として招致された公益通報制度に詳しい結城大輔弁護士が、通報内容の調査結果が判明する前の告発者捜しや不利益な取り扱いについて、「許されない」と指摘。「公益通報に当たるか否かにかかわらず、通報者捜しをしないよう配慮するのが、一般企業などでの実務的な感覚だ」と述べた。