動画投稿アプリTikTok(ティックトック)を通じて「スーパーマンチャレンジ」と呼ばれる遊びが広まり、沖縄県内の学校現場などで複数のけが人が出ていることが26日、分かった。本島南部の中学校では今月上旬に1人が左手首を骨折。中部でもけがが複数あった。県教育庁の呼びかけもあり、各学校が校内集会や保護者向けのLINEなどで注意喚起している。(南部報道部・平島夏実)
「スーパーマンチャレンジ」では、1人がスーパーマンの体勢で飛び込み、他の複数人が受け止めてトランポリンのようにはね返す。受け止めきれずに落下したり、受け止めた際の強い衝撃がけがにつながったりする。はね返した後に天井へぶつかる例や、着地に失敗して体を強打する例もある。
本島南部の中学校で起きた事故では、4~5人が受け止めてはね返した後、うまく着地できずに骨折したという。県教育庁島尻教育事務所には管内から複数のけがの報告があり、23日付で各教育委員会宛てに文書を出した。
事故が起きた自治体の教育委員会は文書を受け取ってから骨折事案を把握。25日までに全小中学校で注意喚起した。「スーパーマンチャレンジ」という言葉を子どもたちが検索する恐れがあるとして、小学校を中心に一部の学校では「危険な遊び」と言い換えたという。
本島中部の教育委員会も9日付で注意を呼びかけた。
TikTokでは過去に、首にベルトを巻くなどして自ら失神し、意識を取り戻す様子を投稿する「失神チャレンジ」が広がり問題化した。
モバイルプリンスさん(スマートフォンアドバイザー)の話
若者に人気のSNSでは「○○チャレンジ」と題した動画が定期的に流行する。昭和の子どもたちがテレビで見たプロレス技やアイドルの髪形をまねた心理と、本質的には変わらないだろう。
だが、SNS上の「チャレンジ」には極めて危険なものもある。過去には薬物を過剰摂取する「ベナドリルチャレンジ」で死者が出た例もあり、決して軽視できない問題だ。周囲の大人が危険性を丁寧に伝えていくしかない。
ただし、その際に重要なのは子どもとの信頼関係だ。注意する大人が子どもにとって「反発する対象」の場合、逆効果になりかねない。禁止されることで、その行為に「価値」があると勘違いする子どももいるだろう。
SNSの大きな問題点の一つに「アテンションエコノミー」がある。閲覧数などの数字を重視する現象で、多少のリスクがあっても過激なコンテンツで注目を集めようとする。
こういうビジネスモデルになっている以上、今回の「スーパーマンチャレンジ」も未成年者の「自己責任」で片付けるべき話ではない。SNSの運営側は未成年に配慮した対応が必要だ。同時に、家庭や学校でのメディアリテラシー教育も重要になるだろう。(談)