裏金実態解明の“本丸”か? 森喜朗元首相の国会招致いよいよ現実味…野党の多数決「やむなし」のムード

年の瀬のドサクサ感は否めない。東京地検特捜部は26日、政治資金規正法違反の疑いで告発された旧安倍派の裏金議員や秘書ら計65人を一斉に不起訴とした。
うち犯罪事実を認めつつ裁量で起訴を見送る「起訴猶予」は現職の簗和生、関芳弘両衆院議員と宮本周司参院議員に、元衆院議員の菅家一郎、衛藤征士郎両氏の計5人。他にも秘書ら16人も起訴猶予に。検察は悪質性が低いと判断したようだが、処分を不服として検察審査会に審査を申し立てられる可能性は十分。裏金事件は越年必至だ。
裏金議員については、こちらも臨時国会会期末のドサクサに紛れ、衆参計24人が政治倫理審査会で弁明。核心に迫る証言はゼロで裏金議員同士の認識の違いも目立った。裏金スキームはいつ、誰が、何の目的で始め、いったん廃止を決めたキックバックを誰が再開させたのか──。結局「真相」は解明されないまま、参院の政倫審は年越しである。
煮え切らない状況に野党も指をくわえているわけではない。野党6党・会派の国対委員長は23日、旧安倍派(清和会)の元会計責任者・松本淳一郎氏(政治資金規正法違反で有罪確定)の衆院予算委員会への参考人招致を求めることで一致。松本氏は自身の刑事裁判で、2022年8月の派閥幹部会合で還流再開を決めたと証言し、判決文でも事実認定された。
「政倫審で複数の旧安倍派幹部は22年8月の会合で結論は出なかったと弁明。松本氏と証言が食い違う。招致は全会一致が慣例ですが、委員長判断で多数決も認められる。衆院予算委員長は、立憲民主の安住淳氏。委員総数50人のうち野党が26人を占め、多数決も『やむなし』のムードに傾きつつある」(野党議員)
来年の通常国会で松本氏招致が実現すれば裏金派閥を長年率いた森喜朗元首相の国会招致も現実味を増す。森は清和会の中興の祖。裏金スキーム開始の事情を知っていなければおかしい立場で、実態解明の“本丸”だ。
「森氏招致を実現させなければ裏金事件への国民の怒りは収まらない。検察の判断が国民意識と乖離している以上、国民の代表機関の国会で白黒つけるべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
来年こそ真相究明が待たれる。