「娘には何の落ち度もない」生まれつき難聴の11歳娘 重機が突っ込み死亡 両親の訴え『障がい理由に減額は差別』判決の見直し求めた裁判 判決は1月20日

「障がいを理由に賠償額を下げるのは差別だ」娘を亡くした両親の訴えです。
誕生日パーティーで笑みを浮かべる井出安優香さん。この4年後、交通事故で命を奪われました。
2018年、大阪市生野区の歩道に重機が突っ込み、聴覚支援学校からの下校中だった安優香さん(当時11)が事故に巻き込まれました。運転手の男は危険運転致死傷などの罪で懲役7年の刑が確定し、現在、服役中です。
(安優香さんの母 井出さつ美さん)「18歳になった時点で着物の郵便がたくさん届くんです。成人式のときに安優香はどんな振り袖を選んでたんやろなとか、想像することがしんどくなってしまう」
安優香さんの両親は運転手と勤務先に対し事故の責任を求め、約6100万円の損害賠償を求めて裁判を起こしました。争点となったのは「逸失利益」。「事故に遭わなければ将来得られるはずだった収入」のことです。
安優香さんは生まれつき難聴でしたが、聴覚障がい児向けの教室に通い、古典を参考に日常生活を綴った作文も書けるようになっていました。両親は「安優香さんが年齢相応の読み書きの能力を習得し、補聴器を使えば会話をすることができた」などとして、逸失利益は“健常者と同じように”算出するよう主張。
しかし、一審の大阪地裁は2023年、運転手と勤務先に約3700万円の賠償を命じたたものの、逸失利益については障がいを理由に「全労働者平均の85%」にとどまると判断したのです。
(安優香さんの父 井出努さん)「裁判所が差別を認めたっていう悔しい判断をされた。娘には何の落ち度もなかった。娘の将来を奪ったのは相手側なので、当然減額される理由は全くない」
判決を不服として控訴した両親。1月14日、裁判所に判決の見直しを求め、1万8000筆あまりの署名を提出しました。
(安優香さんの母 井出さつ美さん)「将来の可能性って健聴者と障がい者って一緒だと思うんですよね。娘のそれまでの努力を見てきて、私はやっぱり信じたいし、楽しみだったし、将来が。それを奪っておいて、障がい者だからっていう主張はないんじゃないかなって」
控訴審判決は1月20日に言い渡される予定です。