米交流サイト大手フェイスブック(FB)の日本法人「フェイスブックジャパン」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、平成29年12月期までの2年間で約5億円の申告漏れを指摘されていたことが29日、関係者への取材で分かった。日本国内の広告料は法人税率の低いアイルランド法人に支払われる仕組みで、日本法人は経費に数%上乗せした報酬をアイルランド法人から受け取っていた。国税局は、利益が実質的に、低税率国に移されていると判断したもようだ。
グーグル、アップル、FB、アマゾン・ドット・コムの「GAFA(ガーファ)」に代表される巨大IT企業をめぐっては、インターネット広告の収益などで巨額の収益を上げる一方、適切な課税ができていないとの指摘もある。国税当局は、法人税率が低い国や地域に利益を移すことによる課税逃れを防ぐ観点から海外取引に注視した税務調査を進めている。
関係者によると、日本国内の広告料は、広告主らが契約したアイルランド法人に支払われていた。日本法人は特定の広告主らに助言などをし、アイルランド法人の業務を支援した対価として、経費に数%が上乗せされた金額を報酬として受け取っていた。
国税局は税務調査で、日本法人の報酬は広告料に連動させるべきだと指摘。日本法人の利益は29年12月期までの2年間で約5億円増え、その分が申告漏れに当たると判断した。
法人税の追徴税額は過少申告加算税などを含め1億数千万円に上る。日本法人は修正申告に応じ、すでに納付したとみられる。