石破首相は24日午後、衆院本会議で就任後初の施政方針演説に臨み、産官学の地方移転推進など「令和の日本列島改造」の実現に向けた5本柱を打ち出した。防災・国土強靱(きょうじん)化や選挙制度改革の推進も訴えた。
首相は演説で、自身が目指す国家像として、一人一人が自己実現を図っていける「楽しい日本」を掲げ、「令和の日本列島改造を強力に進める」と宣言した。
5本柱では、男女の賃金格差是正に向けた法整備などで「若者や女性にも選ばれる地方」を作り、政府機関を含む「産官学の地方移転」、デジタル技術を活用した生活拠点の整備といった「新時代のインフラ整備」を進めるとした。地方で新たな産業分野の創造や技術革新を目指す「地方イノベーション創生構想」や、都道府県を超えた広域連携の新枠組みである「広域リージョン連携」も提唱した。
重視する災害対策では、防災対応の司令塔となる「防災監」ポストを創設するなど、予算・人員両面で政府の防災機能の抜本的強化を掲げた。国土強靱化の着実な推進に向け、次期実施中期計画は現行の15兆円を上回る事業規模とする考えを示した。
外交・安全保障では、2月前半で調整している日米首脳会談で、トランプ大統領と安保や経済の諸課題について認識の共有を図り、「日米同盟を更なる高みに引き上げたい」と言及した。
政治改革では、政治活動の資金源について、国費助成と企業・団体や個人献金とのバランスのあり方などの議論を与野党で深めたいと訴えた。選挙制度を巡っては、選挙期間中のSNS上での偽情報拡散が社会問題化していることを受け、「民主主義は健全な言論の場においてこそ成り立つ」と指摘し、党派を超えて検証、改革の議論を進めるよう求めた。
少数与党として、幅広い合意形成を図る姿勢を示しつつ、与野党双方に対し、「責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要だ」と呼びかけた。