NHKは4日、受信料業務のシステム開発を委託した日本IBMに対し、54億6992万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴したと発表した。提訴は3日付。NHKはシステムを刷新するため、新システムの開発・移行業務を委託する契約を2022年12月に日本IBMと結んだが、24年5月に同社から大幅に納期を延ばすと申し入れがあり、契約を解除。既に支払った約31億円の返金を求めたが、応じなかったため提訴したという。
NHKによると、日本IBMとは22年12月に約80億円の業務委託契約を締結。クラウドを使った新システムを開発するため、現行システムの使用期限である27年3月を納期としたが、同社から24年5月、納期を1年6カ月以上延ばす必要があると申し入れがあった。NHKは事業継続に支障が生じるとして、同年8月に契約を解除。24年度の中間財務諸表に33・4億円の特別損失を計上し、そのうち28・5億円がこのシステムの開発に関わる減損だった。
NHKの担当者は「把握している中では過去最高額の訴訟」といい、進行中の計画が頓挫して減損処理するケースはまれだという。同局は「裁判の中でNHKとしての考えを主張し、適切に対応する」とコメントした。【平本絢子】