埼玉県八潮市の県道陥没事故で、県は11日、下水道管内の調査で見つかったのは転落したトラックの運転席部分と断定し、安否不明の男性運転手(74)が内部に取り残されている可能性があると発表した。今後、運転席部分のある場所を迂回(うかい)するバイパスを設けて下水の流入を防ぐとともに、地上から穴を開けて引き上げることも検討する。工事のため、捜索開始には約3か月かかる見通しだ。
県はドローンを使った5日の調査で、下水道管内に運転席部分とみられるものを発見した。地表から細い穴を開けて小型カメラを投入したり、男性運転手の勤務先に聞き取りを行ったりして、転落したトラックのものと特定。警察や法医学の専門家が映像を分析し、運転席内に人がいる可能性があると判断した。
運転席部分が見つかった場所については、これまで陥没現場から「下流に100~200メートル」としてきたが、詳細な調査で下流30メートルと特定した。
大野元裕知事は事故発生から2週間がたった11日夕、報道陣の取材に対し、「被害者の救助救出が最優先。確実に人かはわからないが、キャビン(運転席部分)の所在がわからなくなってから初めての手がかりだ」と語った。
下水道管内での活動には、速い水流と高濃度の硫化水素というリスクが伴う。県は、陥没現場と運転席がある場所を迂回する新たなバイパス管を整備し、現場周辺に流れ込む下水の量を減らした上で、消防による捜索を行う考えだ。
また、県は陥没現場の周辺住民に八潮市が緊急避難を求めた1月29日にさかのぼり、同市に災害救助法を適用したと発表した。バイパス管の工事中も一定期間の避難が必要なためで、避難所設置に関する経費などは国と県が負担する。