同姓の認め印で生活保護文書を偽造か 桐生市職員2人を刑事告発

群馬県桐生市が70代女性に生活保護費を支給する際に同姓の認め印を使って文書を偽造したとして、女性の代理人の上村昌平弁護士らは12日、市の男性職員2人を有印私文書偽造・同行使などの疑いで桐生署に刑事告発したと明らかにした。告発は1月28日付。上村弁護士は「勝手にはんこを使うことが常態化していたと考える。桐生市には自ら襟を正してほしい」と話した。
告発状などによると、市福祉課のケースワーカーは2023年10月27日ごろ、市役所で保管していた女性と同姓の認め印を使い、保護の領収書に押印。同年11月27日、ケースワーカーと同課の指導員で共謀して、市役所を訪れた女性や上村弁護士らに偽造した領収書を閲覧させたなどとしている。
上村弁護士によると、女性は障害のある40代長男と2人暮らしで、同年9月26日に生活保護を申請。市は10月25日に開始を決定したが、9月分の2万4830円を支給したのは11月17日だった。
同月27日、女性が生活保護の領収書に押印していないため、上村弁護士らが付き添って市役所を訪問。ケースワーカーらは当初「女性から受領印を得た」などと説明したが、同年12月20日になって市側が「ケースワーカーが女性と同姓の認め印を押印した」と説明を変更したという。
同市の生活保護制度の不適切な運用については第三者委員会の調査が続いており、上村弁護士は「職員が法律を守っていなかったことがさまざまな問題の素地になっている」と指摘した。
告発を受け、荒木恵司市長は「報道情報のみで詳細は把握しておりませんが、重く受け止めております。警察からの捜査などがあれば、真摯(しんし)に協力したいと考えております」とコメントを発表した。【加藤栄、遠山和彦】