2023年7月、札幌・繁華街ススキノのホテルで男性会社員・Aさん(62=当時)が殺害された事件。逮捕・起訴された親子3人のうち、死体損壊ほう助や殺人ほう助などの罪に問われている父親・田村修被告(61)の第7回公判が2月4日、札幌地裁で開かれた。
今回の裁判では母親・浩子被告(62)の証人尋問及び、修被告の被告人質問が行われ、親子3人の乱れた生活の様子が明かされた。裁判を傍聴したライターの普通氏が解説する。
「これまでの裁判でも、被告の自宅が足の踏み場もない“ゴミ屋敷”状態であったことがたびたび取り上げられています。両親は娘が欲しがるものを次々に買い与えており、瑠奈被告(30)の私物が散乱していたようです。そのため修被告は寝る場所を確保できず、毎晩ネットカフェで寝泊まりしていたといいます」(普通氏)
修被告がネットカフェで寝泊まりし始めたのは、事件が起こる2ヶ月ほど前の2023年4月下旬。浩子被告が膝を骨折したため、それまで物で溢れていた階段や廊下などの動線確保が必要となった。そこで散乱した物を修被告の寝床に移動させた結果、寝る場所がなくなり、家の外での寝泊まりを余儀なくされていた。
「自宅に自身の居場所がなかった修被告ですが、家庭ごみを出したり、前日までに頼まれた買い物の差し入れをしたりするために、毎朝帰宅していたといいます。また、台所の蛇口が不具合で使えなかったため、洗面台から水を持ってきて野菜を洗ったり、お湯をキャンプ用品で沸かしたりという作業も修被告は担っていたとのことです」(同前)
台所の蛇口について、弁護側から「修理は難しかったのか?」という質問があった。それに対して修被告は、「物が多く、業者を呼べる状態でなかった」と答えている。
浴室に被害者の頭部があったため、風呂に入れず銭湯通い
瑠奈被告はAさんを殺害後、切断した首を自宅に持ち帰り、浴室で保管していた。Aさんの頭部を保管するため浴室を利用できなかった3人は、その間、銭湯に通っていたという。
「検察は浩子被告に、『Aさんの頭部を持ち帰った理由は聞かなかったのか?』『持ち帰って何をするつもりか聞かなかったのか?』『3人で話し合おうとしなかったのか?』と続け様に質問しましたが、浩子被告はすべてに『いいえ』と回答し、『すでに凄惨なことが起きていて、瑠奈(被告)の内心もわからなかった』と述べています。
くわえて、両親は『お風呂に入れないので頭部を出してほしい』と要求することもせず、銭湯通いを受け入れていたとのことです」(同前)
親子関係の歪さが浮き彫りになるが、夫婦仲はどうだったのか。被告人質問において、修被告は次のように答えている。
修被告「普通(の家庭はどうか)はわからないが、浩子(被告)を信頼していて、浩子(被告)もそうだと思う」 弁護人「頻繁にLINEをしている?」 修被告「やりとりが必要なことはしている」 弁護人「ネットカフェ暮らしと夫婦仲は関係ない」 修被告「関係ない」
また、証人尋問において、浩子被告が「保釈後、自宅に“大切なもの”を取りに帰った」と発言する場面があった。
浩子「“婚約指輪”とか大切なものを。(しかし、物が山積みにされているため)どれも見つからず」
婚約指輪を紛失するほどの乱れた生活を両親が受け入れていたのは、娘のためだというのだろうか──。