横田早紀江さん存命中に解決を…拉致家族会が訴え 日朝連絡事務所設置に首相は言及せず

北朝鮮による拉致被害者家族らは、20日の石破茂首相との面会で、従前から切望する「親世代が存命中の被害者との再会実現」に向け、強い焦燥感を伝えた。横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(89)が親世代の〝最後の1人〟になり、このまま旅立つような事態になれば「政府へ強く抗議する」と宣言。救出運動の在り方を根本的に見直すと表明した。
「なぜ私たちの必死な叫びが放置され続けるのか。明弘さんの気持ちも代弁し、怒りを持って、お伝えする」。めぐみさんの弟で家族会代表の拓也さん(56)は、石破氏との面会の冒頭、そう訴えた。
運動方針に掲げる「親世代」の一人だった、有本恵子さん(65)=同(23)=の父、明弘さんが15日に96歳で死去。残るは早紀江さんだけに。拓也さんは面会で、早紀江さんの存命中の被害者奪還が「タイムリミット」であると改めて言及した上で、「それがかなわなければ、私たちは(北朝鮮に対し)対話から、制裁強化や圧力の方向へ(救出運動の)軸足を移すとともに、政府による日朝国交正常化交渉に強く抗議していく」と述べた。
残された時間がわずかなことは明白だが、首相の言動には不信が募る。
石破氏は、家族らがすでに反対意思を直言していた「日朝連絡事務所の設置案」に関し、なお対北交渉の策として維持。家族らは20日も再び、設置案に反対の意向を示したが、石破氏から可否について言及はなかったという。
面会後の報道陣の取材に、田口八重子さん(69)=同(22)=の長男、飯塚耕一郎さん(48)は、「ここ(官邸)に来るたび、仲間が減っていることを実感する。喪失感、焦燥感は無論、強い怒りがこみ上げてくる」と吐露。早紀江さんは「とにかく日朝首脳会談を早く実現してほしい」と求めた。(中村翔樹)