経営していたペットショップの複数の女性従業員を脅迫し、抵抗できない状態にして性的暴行を加えるなどした男に対し、福岡地裁は25日、求刑どおり懲役30年の判決を言い渡しました。
◆福岡地裁が判決
判決を受けたのは、糸島市の無職・本多道雄被告(66)です。
◆”強制性交等傷害”など7件の罪で起訴
判決によりますと、本多被告(66)は、2017年から5年間にわたり、経営していたペットショップの20代~30代の女性従業員たち(当時)に性的暴行を加えようとしてけがをさせたり、脅迫して抵抗できない状態した上で、性交したりしました。
この事件で性被害を受けた女性は6人にのぼっています。
◆判決「過去に類を見ないほど悪質」
判決で、福岡地裁の今泉裕登裁判長は「自らの欲望を満たすため会社を私物化し、多数の従業員らを恐怖によって支配して服従させ、常習的に性的行為や脅迫行為を繰り返す中で行われたもので、過去に類をみないほどの特異な悪質性を備えている」とした上で、「本多被告は不合理な弁解に終始し反省の態度が全くうかがわれないことにも照らすと、有期懲役の上限である懲役30年を下回るような量刑は相当ではない」と指摘。
検察の求刑どおり懲役30年を言い渡しました。
◆本多被告は「無罪」を主張していた
これまでの裁判で本多被告は、「脅迫行為はしていません」などと起訴内容を否認。
弁護側は「被害者らは被告と親密な関係で、抵抗できない状態ではなかった」などと無罪を主張していました。
◆裁判長、異例の問いかけ
25日の判決公判。今泉裕登裁判長は、判決言い渡しの前、本多被告に「述べておくことはありますか」と異例の問いかけを行いました。
これに対し本多被告は「抗拒不能とか畏怖させていたとかは一切ないし、訴えられる覚えはないです」と答えていました。
◆裁判への関心高く
この日、法廷に48席ある傍聴席は満席となり、傍聴できなかった人も多くいました。