東京・永田町で昨年10月、自民党本部と首相官邸が襲撃された事件で、官邸前で自分の車に火炎瓶を投げつけたとして、警視庁公安部は25日にも、職業不詳の臼田敦伸容疑者(50)(埼玉県川口市)を火炎瓶処罰法違反(使用)と建造物等以外放火の両容疑で東京地検に追送検する方針を固めた。車内には200リットル近くのガソリンが積まれており、車を炎上させて周囲に危害を及ぼそうとしたとみている。
捜査関係者によると、臼田容疑者は昨年10月19日早朝、首相官邸前の路上で、ガソリン入りの火炎瓶2本を自分の軽ワゴン車に投げつけ、車内の一部を焼損させた疑いが持たれている。
臼田容疑者は官邸前の防護柵に車で突入し、警察官に発煙筒を投げつけたとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。数分前には、自民党本部前で、機動隊員らに火炎瓶5本を投げつけるなどしたとされ、昨年11月に殺人未遂などの容疑で再逮捕されていた。
その後の捜査で、臼田容疑者が昨年8~9月、安倍元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(44)や、岸田首相(当時)襲撃事件で1審で懲役10年の判決を受けた木村隆二被告(25)の名前を、インターネットで検索していたことが判明した。
「ローン・オフェンダー(単独の攻撃者)」を検索した履歴も確認されたという。臼田容疑者は調べに黙秘を続けているが、共犯者はいないとみられ、公安部は過去に要人が狙われた事件を参考に、1人で事件を起こしたとみている。
東京地検は今月21日、臼田容疑者に対する3か月間の鑑定留置を終えた。鑑定結果を踏まえ、起訴の可否を判断するとみられる。