全国の小中学生が授業で使っている学習用タブレット端末の更新が4月から本格化する。それに伴って生じる膨大な数の使用済み端末には、個人情報が残されているケースも少なくない。情報漏洩(ろうえい)を防ぐためには、専門業者への委託によるデータ消去の徹底が求められるが、処分計画をつくり終えていない自治体も多く、デジタル化が進む学校現場の「2025年問題」となっている。
目立つ処分計画未策定自治体
調査会社「MM総研」によると、全国の公立小中学校で使われている端末は約950万台。令和2年の新型コロナウイルス禍による全国一斉の臨時休校を受け、学校のデジタル化を進める「GIGA(ギガ)スクール構想」の一環として国費で自治体が整備したものだ。
端末はバッテリーの劣化などによって5年程度で更新時期を迎える。3年度前後に配られた端末が多く、7~8年度が更新のピークとなる。
新端末の整備には国の補助金が充てられるが、使用済み端末の処分は自治体の予算で行われる。コロナ禍で走りながらの導入となったという事情もあり、処分計画が未策定の自治体が目立つ。
たとえば、小中学校で20万台以上の端末が使われている横浜市では、処分方法を検討している最中。担当者は「業者委託などが必要だと考えており、今年度末までに計画を示したい」と語った。
いじめ相談などデリケートな情報も 保護者8割不安
使用済み端末には、子供の氏名や住所、写真、ネットワークのパスワードといった個人情報が残されている可能性がある。いじめ相談などのデリケートな情報を端末経由でやりとりしている場合もあり、管理には細心の注意が求められる。
こうした情報管理に対する注意喚起などを目的として、1月に設立された一般社団法人「児童生徒のデータプライバシー協会」が小中学生の保護者687人にアンケートを行ったところ、8割超が子供の個人情報などの流出を不安視。特に写真・動画データや家族情報の流出を懸念していた。
文部科学省は「自治体が定めた情報セキュリティーのポリシーに基づいて漏れのないように対応してほしい」(修学支援・教材課)として、環境省の認可を受けたリサイクル事業者などによる「適切な処分」を徹底するように促している。
同協会の塚本幸治理事は「端末1台にかかる一般的な処分費用は数千円程度。しかし、規模の大きな自治体では巨額となり、十分な予算の確保が難しいために、当初のスケジュールがずれこんでいるケースも見受けられる」と指摘する。
情報通信技術の社会的普及に伴ってデータ管理の重要性は増しており、塚本氏は「教育の情報化を進めていく上でも自治体の対応が問われることになる」と話した。
小中学校9割、タブレット「週3回以上」授業で利用 成績にも影響、不登校リスク把握も
小中学生に1人1台配られたタブレット端末を授業で週3回以上使っている小中学校の割合は、令和5年度時点で9割を超えている。このうち、7割近くの学校はほぼ毎日使用しており、デジタル技術は子供たちの日常に浸透した感がある。
出題された設問の解答を記述したり、グループワークのまとめに利用したり、さまざまな使われ方をしている。文部科学省の調査では、授業で発表する場面で、ICT(情報通信技術)を活用すると正答率が高くなる傾向があることも指摘されている。
一方、端末は授業にとどまらず、不登校や自殺などにつながる予兆を早期に発見するためにも活用される。健康観察アプリを使い、質問項目に子供が回答を入力、教員らが心身の状態をチェックする動きも広がっている。(玉崎栄次)